知足です。

 7月5日。九州北部豪雨災害から1周年となります。一周忌を迎えられ、悲しみを新たにされている方々もいらっしゃるかと思います。心からお悔やみ申し上げます。また、長雨が続く中、言いようのない不安が込み上げる被災者の方々もおられるかもしれません。
 
 豪雨災害1周年の今日、朝倉市立杷木小学校 (旧杷木小学校、松末小学校、久喜宮小学校、志波小学校が統廃合され新設)に災害流木の木彫「朝倉龍」を寄贈させていただきました。九州大学災害復興支援団の活動の一環です。

 初めて校内を拝見しましたが、木材がふんだんに使われており、美しかったです。災害に備え、体育館や生徒用昇降口は二階に設置されています。メディアの取材は全て断られており、校内は落ち着いた雰囲気です。
 運搬は、秋吉先生ら教職員の皆様、柳さん(共星の里美術館)、白水さん(SAL)が協力してくださいました。約80kgの木彫が、体育館のステージに人力で上がる様は、まさに祭りの神輿のようでした。

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 防災の日の全校集会なのですが、ふと式次第をみると、この彫刻寄贈が中心に組まれており驚きました。また、子供達が事前に彫刻のことをよく調べてくれていました。本当にありがたく、胸がいっぱいになりました。
 集会ではまず、私から制作プロセス等の説明をしました。流木レスキューと製材を行なってくださった杉岡さん(杉岡製材所)も同席してくださいました。PTA会長の小嶋さんが伝えてくださった被災地支援の連携のお話(ひまわりの種→毎日新聞記事)も忘れられません。小嶋さんをはじめ、地域の方々が子供達をとても大切にしていることが伝わってきます。

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 子供達にとって、この一年は、きっととてつもない1日1日が積み重なったものです。 子供達のお礼の言葉や発表を聞きながら、私は目頭があつくなりました。「地域に元気を与え、支えてきたのは、まさにこの子供達だった」ということが、改めてわかったからです。 
 子供達に幸せな未来を、と願うことから、前を向く力を得た大人たち(私を含め)は多いはずです。「毎日を生き抜いてくれてありがとう」、心からそう思いました。今も、彼らの幸せを祈ることしかできない自分がいます。
  
 塚本校長先生が、胸に響くお話をされました。それは、いのちの大切さを思い「助産師になる夢」を、ひとりの杷木小学校生が抱いたという新聞記事についてです。校長先生は「これからも、つらい体験から学び、未来につなぐ力にしましょう」と話されました。
 最後に、私は立派な感謝状を授かりました。本当にありがとうございました。
「あなたは災害を乗り越え、未来を生き抜く子供達の守り神として"朝倉龍"を本校に寄贈して頂きました。よって、ここにそのご厚意に対し深く感謝の意を表します」とあります。
 私がこれまでいただいたものの中で、最も嬉しく、誇らしいものの一つとなりました。

 
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 全校集会後、設置場所まで移動するのに、ロイヤルカレッジオブアート(イギリス)の学生たちや本学の稲村先生、冨田市議会員などが手伝ってくださいました。

 作品は、一階玄関の中央に設置されました。こんな素晴らしい場所をありがとうございます。これからも、私はこの龍とともに杷木小学校のために祈ります。




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以下の新聞で寄贈等の件を取り上げていただきました。

朝日新聞夕刊 6/22
毎日新聞 7/4 →web
読売新聞 7/6  →web
西日本新聞 7/7
日本経済新聞夕刊 9/1 →web

 


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[作品説明]

「朝倉龍」2018年 樟 (台座は杉に柿渋の着彩) 115×105×105cm

 流木集積所(旧朝倉農業高校)から樹齢132年の災害流木のクスノキを取り上げたのは、昨年の7月26日のことでした→7/26ブログ。杉岡さんが、流木を洗浄、製材し、大学に納品してくださったのは8/31でした。9月より半年かけて彫りすすめ、2018年の3月に完成しました。5月には、東京の国立新美術館(国展)で作品を展示し、7/5の災害1周年に朝倉市立杷木小学校に寄贈されました。