知足です。

 災害木の彫刻制作(吉木の山桜/朝倉流木)の進捗状況です(→吉木の山桜プロジェクトのクラウドファンディングのページ
 お盆前に製材した山桜にお神酒をあげて、無事制作が進むようお祈りしました。写真の左二つが山桜の材(花開童子)で、右は朝倉の災害流木で制作している 福太郎童子です。朝倉私立杷木小学校に寄贈した龍の彫刻と同じクスの災害流木から彫っています(→小学校への寄贈風景)。クラウドで制作するのは山桜を使った彫刻(花開童子)のみですが、私としては、福太郎童子と2つで対になる作品を構想しています。


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 吉木の山桜は樹齢約300年で、江戸時代から生きてきた偉大な樹です。どれほどの人々が、この桜に心をいやされたことでしょう。

 山桜の比重はスギの約二倍(0.6)で、ずっしり重く硬い素材です。 吉木の山桜は中心部分に空洞(ムロ)があり、比較的大きく使える根元に近い部分を製材しています。製材後、ムロの部分を中心に割れが出てきてしまいました。


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 そこで彫刻のお顔にあたる部分を、上部同材の割れが少ない柾目(年輪に対して垂直の方向)からとることにしました。頭と体を別々につくり、あとからつなぐ方法(寄せ木)です。


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 山桜はとても硬い木なので、完全に乾燥しきってしまうまで待つと、彫刻がしづらい状態になってしまいます。ある程度湿気が残っているうちに彫りたいのですが、そうすると制作後に割れる可能性もあり、悩みどころです。杉岡さん(杉岡製材所)には、吉木の山桜の残りの材を、添田町に返さずにとっておいてください、と頼みました(彫り直しの可能性もあるため)

 これ以上、割れがすすまないよう、九州大学農学研究院の藤本登留先生にご相談しました。藤本先生は、木質資源工学がご専門です。特に木材の乾燥に関して、日本における第一人者です。 旧朝倉市立松末小学校での時計ワークショップの際も、木の円盤材について大きく貢献してくださいました(→時計ワークショップ風景)。
 藤本先生が研究されている木材乾燥法のひとつ、PEG-1000(ポリエチレングリコール分子量1000)を塗布しながら彫刻する方法をご教示くださいました。まず先生は、九州大学大橋キャンパスの制作現場に木材を見に来てくだり、その後、伊都キャンバスの実験室で補充用のPEGを新たに作ってくださいました。小口(木を水平に切断した面)の乾燥を防ぐことが大切だということで、ウレタンシーラーを分けていただきました。知識提供等、無償で行ってくださり、本当にありがたかったです。心より感謝申し上げます。


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 しばらくは粗彫りをしながら、PEGを少しずつ塗布するという作業を繰り返したいと思います。


*9/1は防災の日です。日本経済新聞に、朝倉市立杷木小学校に寄贈した彫刻のことが掲載されました。
私が最も嬉しかったのは
「この龍がいるからもう災害は起きないような気がする」
という子供の感想でした。
このことが、私の一番の願いだったので、本当にうれしくて胸が熱くなりました。
漠然と信じられる思いや安心、ーそれが彼らによりよい未来を引き寄せてくれると考えていたからです。以下のページが記事になります。
日本経済新聞夕刊 9/1 →web