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知足です。

【10/7】予定をしておりました砂浜に龍を描くワークショップですが、台風の影響を鑑み、中止が決められておりました。
雨天時のウィンドチャイム作りの準備もしていたので、知らせを受けた時は仕方ないとはいえガッカリしておりました。
 しかし友人たち(長野県から前川さん、朝倉から杉岡さんご夫妻)と、災害復興祈願として、個人の責任で志賀島の砂浜に龍を描くことになりました (台風が早めに去り、10/7は快晴だった)。
 すると、当日参加予定だった地元の藤木さんご夫妻がお子様連れで協力してくださいました。
作画協力やドローン撮影までしていただきました。
本当にありがたく、嬉しかったです。
 画像で見えにくいですが、龍のうろこ一枚一枚が貝で装飾されています。
龍の目は、参加してくれたお子さんの秘蔵の貝がらです。

 自然への畏敬の念を人間が思い出すことや、世の中の安泰祈りました。
 私自身、気持ちも晴れ晴れと、楽しかったです。皆さんといつか体験を共有できればと思いました。

 絵を描く前に、志賀海神社にお参りしました。権禰宜の平澤さんに、龍の都であるという神社の由縁や阿曇磯良(アズミノイソラ)の貴重なお話を伺うことができ、大変勉強になりました。ありがとうございました。(10/27に、九州大学大橋キャンパス(予定)で平澤さんのお話があり、最後のトークセッションに私も参加する予定です)
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【10/8】くろがわヒストリーアート


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 10/8、朝倉市黒川地区にある「共星の里」でくろがわヒストリーアートが開催されました。(7日のアートワークショップは台風のため11/4に延期)
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🔳「黒川と山岳信仰」講師/森弘子(福岡県文化財保護審議会委員、人間環境学 博士)
🔳「英彦山と黒川院」講師/高千穂秀敏(英彦山神宮宮司)
🔳「自然とアート 命の再生」講師/知足美加子(九州大学大学院芸術院准教授)
🔳パネルディスカッション「くろがわの場が放つ力と可能性とは」鈴木芳康(京都造形芸術大学名誉教授)、柳和暢(共星の里)、川端正夫(朝倉市文化・生涯教育課)、講師3名
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 ご縁(セレンディピティ)や様々な素敵な化学反応に満ちた1日でした。朝倉市長や黒川地区の方々や自治体関係者も多数参加されていました。

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会場の共星の里は、旧黒川小学校を再利用しています。

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共星の里代表の尾藤長司さんが司会をしてくださりました。共星の里創始者です。


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 実行委員長(共星の里ディレクター、アーティスト)の柳和暢さんからのご挨拶がありました。
 柳さんは最後のパネルディスカッションで「黒川が復興し、よりよくなるためには、たくさんの方々がここで出会い、持てるものを分かち合い、情報を持ち帰ることが大切である」という本質的なお話をされました。共星の里に宿る文化や人々への純粋な利他愛、強い意志が、柳さんの向こう側にみえるような気がしました。


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 森弘子先生(福岡県文化財保護審議会委員)は「黒川と山岳信仰」についてお話をされました。霊山と平野が接する場を「黒川」と呼ぶ事例は、全国的に存在するそうです。
黒川は、彦山48大行事社のうち、山外にある7大行事社のうちのひとつです。英彦山座主が居住する主要な地区であったのですが、それは座主が来る前から、強い信仰心、祀りを行う実行力、豊かな食材と水を育む力が備わった土地だったからではないかと分析され、とても興味深かったです。
 宮座(祀りを行う集団)と神課(じんが:本家筋 )の関係。コモに幾重にも包まれ見ることが許されない石の御神体のお話など、森先生は学術的な調査に裏付けられた豊富な知識を、丁寧かつ論理的に構成してお話してくださいます。いつまでもきいていたいようなステキなお話ばかりでした。


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 高千穂宮司(英彦山神宮)は「英彦山と黒川院」についてお話されました。黒川を語ることは自分の先祖を語ることと同義であり、それは軽いことではない、と胸の内を述べられました。
 南北朝の北朝の後伏見天皇第六皇子、助有法親王が1333年に英彦山の座主(ざす)となり、黒川院を造営しました。
 英彦山座主は幾多の試練を乗りこえ、山を守ってきました。その中でもっとも厳しい試練を受けたのは戦国時代の争いを生き抜いた14代座主の瞬有とその娘・昌千代だっただろう、とのこと。「私の仕事とは、試練をこえて英彦山を守っていくこと」というお言葉が印象的でした。
 またパネルディスカッションで、「これから私ができることは、祈ることです」と話され、私は大変心を打たれました。祈るということは、人間を人間たらしめる力が宿っていると思いました。

私は「自然とアート、命の再生」についてお話をしました。


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 パネルディスカッションでは写真家の鈴鹿芳康さん(京都造形芸術大学名誉教授)や、川端正夫さん(朝倉市文化・生涯教育課)も登壇されました。
 鈴鹿さんは、ご縁の大切さと不思議について話されました。また、空き家を活用した農業とアートを結びつけたレジデンスによって若いクリエイターを受け入れることなど、貴重な提案をされました。アーティストならではの審美眼と本質を捉える感性は柳さんに通じるものがあると感じておりましたが、やはり長年の御親友だそうです。
(画像は休憩時間に、ご自分の作品の前で、お茶を振舞われているところ)

 川端さんは行政の立場から、文化を主軸にした復興のあり方について語られました。多様な意見に耳を傾け、あたたかく受け止め、前向きな明るさを感じされるお人柄は、朝倉の方々のもつ良さの代表のようでした。


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 そして何より、お昼ご飯や懇親会の準備してくださった尾藤悦子さん(共星の里マネージャー)、八尋晋さん(彫刻家←共星の里玄関作品の作家)をはじめとする運営の方々。みなさんのおかげで、良い思いがあの場で交差いたしました。
 本当にありがとうございました。