知足です。

 東日本大震災から8年目の3月11日の朝が明けました。私たちの意識を、根底から覆すことになったあの日。私たちの行動や社会の仕組みは、前に進むことができているのでしょうか。

 昨年の11月に、支援先の福島の永野さん(たんぽぽサロン)からいただいたメッセージを以下のページに記載しています。子育て中のお母様たちの声を届けてくださいました。

http://elfinfukuoka.blog.jp/archives/78228827.html

  • 3/11の夜に永野さんよりメッセージをいただきました。このページの下部に転載させていただいています。
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🔷 放射線の問題は終わってなどいないです。だって、震災前に決して戻れることはないんです(中略)。味わわなくてすんだはずの想いを子どもにさせてしまったことは消えないです。

🔷  福島県は決して復興はしていないと思います。ただみんながそれにあえて触れようとしないだけであって、放射線に対する今後の不安が無いわけではありません(中略)。「福島県出身」というだけで、レッテルをはられて嫌な思いをさせられたり、もしかしたら結婚する時に問題視され、差別?される可能性もないとは限らない…特に娘に関しては出産して無事に健康な赤ちゃんが産めるのか?何か影響は無いのか?など…大げさかもしれないが、どうなるかは誰も分からない…と考えてしまいます。震災があった事で何の罪もない子ども達の未来が、思いもよらない悪い方向に進まないことを願います!
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 問題は、現在進行形である復興を、さも完結したように錯覚し、意識の外に追い出してしまうことだと思います。「あたりまえの毎日」を取り戻すことに、いまだ大きなエネルギーを必要としている方々がおられるということ。そして、自らも「(被災する)可能性としての当事者」であること。今一度胸に刻みたいです。



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 2019年1月に逝去された哲学者・梅原猛の対談「 3.11後を生きる君たちへ~東浩紀 梅原猛に会いにいく~」がNHKで再放送されていました。

 震災後の私たちは、どう生きていけばよいのか。梅原猛は政府の復興構想会議に参加し、現在の文明のあり方を問うたそうです。「この災害は天災であり、人災である。そして『文明』の災でもある。原発を使って人間の生活を豊かにし便利にする、そういう文明が災にあった。今、文明が裁かれていると思います」これを、真っ向から政治に対して発言している彼の姿に、尊いものを感じました。

 対談の中で、私の先祖である修験者たちが大切にしていた考え方が紹介されていてハッとしました。それは「草木国土悉皆成仏(そうもくこくどしっかいじょうぶつ)」というものです。木や石にも魂が宿り、成仏をめざしているという考え方です。私がよく耳にしていたのは「山川草木悉皆仏性(さんせんそうもくしっかいぶっしょう)」というもので、あまねく自然界に魂が宿っているという認識についての言葉でした。 この考え方を修験道関係の論文で引用しようと思ったのですが、仏教語大辞典では「中陰経にいうといわれた偈(げ)の一部だが、平安期に口伝法門系(修験)で偽作されたものだろう」と書いてあります。私としては修験以前の縄文期から、森多き日本に根付いていた思想だと思っています。

 梅原猛は「植物中心の共存思想」に人類はシフトしていかなくてはいけないと主張していました。人間中心主義:自然界は数値におきかえ支配できるとしたのデカルト以降の考え方から人間は間違った、というのです。また永劫回帰(「あらゆることは無限にくりかえされる」というニーチェの思想)を日本的なものにひきよせて語っておられました。これは四季の変化をくりかえす日本の環境から生まれ、共有されてきた感覚です。ずっと先の子孫が自分と同じようにセミを虫網でとれるようにと、永遠に繰り返されるものを感じながら、いまやるべきことを考えるというものです。人間の時間のスパンを越える時間軸で社会をデザインする際、想像力の起点となるものは、やはり植物や水などの自然物なのです。

 エジプトが太陽と水の恩恵を感じ神格化したのは、「農業」が中心だったからだと彼は話します。自然と共存する思想を、文明が取り戻すこと。それが3.11後の私たちの生きる道だと。「一粒の麦死なずば」(だれか一人にでも届いたなら続いていく)という梅原猛の最後メッセージを、いまこそ真摯に受け止め、行動していきたいと思いました。

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 毎年、3月に寄付をしてくださる花崎望さんご夫妻がおられます。今年も私たちにとっては大きなご寄付を賜りました。正直申しますと、現在寄付はほとんどない状態なので、花崎さんのご厚意は大変ありがたく思っています。心より感謝申し上げます。現在、熊本震災支援もかねて、熊本の有機栽培野菜を福島の4か所に毎週送付しています。今後、寄付が底をつくと、それを継続することが難しくなってしまいます。

 災害直後、新聞社から取材を申し込まれた際「3年続けられたら取材してください」と断ったことがありましたが、皆様のおかげで8年も続けることができました。8年たったからこそ、現在進行形の復興のあり方を発信できるのかもしれません。できるかぎり続けていけたらと思います。

 現在、九州北部豪雨災害の被災木で、英彦山の守護童子を制作中です。その一躰(たい)の足とおなかの部分について、花崎さんのお子様のお写真を参考にさせていただきました。ありがとうございました。

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*3/11の夜、福島県白河市の永野さん(たんぽぽサロン)から、メッセージが届きました。被災地の当事者の方々が、関連する報道をみる際に沸き起こる思い、想像するにあまりあります。永野さんからの言葉を真摯に受け止め、つないでいけたらと心から思いました。

【NPO法人子育て環境を考える虹の会たんぽぽサロン代表・永野美代子様より】

 毎月、お野菜を親子に送るためにご尽力いただきありがとうございます。2月も野菜が届きみんなで喜んで受け取りました。写真を撮り忘れてしまいました。ご連絡が遅くなり申し訳ありません。生産者の皆さま、ご寄付をいただいた皆様に感謝いたします。


 今日は、3月11日。震災から8年が経過しました。3月が近づくにつれ、やはり気持ちが落ち着かなくなる私がいました。そしてこの数日は震災関連のテレビ番組もいつも以上に増えてきます。今朝も8年過ぎた今の福島の様子を映し出す県内のニュースが続いています。

 テレビ画面の中で笑っている人、ここまでどんなに苦労してたくましく生きてきたんだろう…テレビ画面の中で涙をこぼしている人、ここまでどれほどの悲しみを背負ってきたのだろう…テレビに映っているのは、その人のほんの一部分だけ。言えない見せない辛さをたくさん乗り越えようと頑張ってきたのだろうと思います。そして、その後ろ側にどれだけの人が今現在も苦しんでいるのだろう…そう思ったら、あの時に生かされた自分にここまで何ができてきただろうかと思います。

 たんぽぽサロンで「8年をあっという間だった・・」と話すお母さんたち。8年前は、結婚していなかった人もいます。学生だった人もいます。結婚、出産、子育てと夢中に過ごしてきたのは今、就学前のこどもたちの母親たちです。震災の時に子育て真っ最中だった現在小学生、中学生の母親たちとは少し感覚が違うかもしれません。が、3月11日の恐怖・不安は今もまだ忘れてなどないのだとあの日のことを語るときに見せる彼女たちの表情からすぐにわかります。

 私にとっての8年は、とても長かったです。数十年分、必死に走ってきたように思います。あのころは、「どうしよう どうしよう」とおろおろすることばかりでした。一人ではたっていられなくて支えてもらっても崩れ落ちそうな気持の中、頑張ってきたように思います。少しずつ息切れの時期もありました。もっと辛い思いをしている福島県人がいると思うたびに自分の弱さを責めて、燃え尽きてしまいそうでした。

 でも、この苦しさの中で県外からたくさんの方々に応援していただいたから今の私があります。たくさんのつながりができたから頑張ってこれました。こどもたちの笑顔と頑張っている親たちがいてくれたから育ちあうことができました。 これからも「ひとりじゃないよ」と言い続けながらやれることをやっていきます。「どうしよう」と思ったら「じゃ、こうしてみよう」「何とかなる。何とかする。やるしかない」と未来に向けて頑張っていきたいと思います。

 日本中の方に、まだ原発問題は収束していないこと除染した汚染された土の入った黒い袋は増えるばかりなこと放射線物質は見えないから不安なことまだ、避難中の親子がいることなどなど知ってほしいなぁと思います。復興という言葉ばかりが先行して終わったこととして忘れ去られてほしくないなぁと思います。

 雨が降ったり地震があったりすると 真っ先に原発が心配になり不安になり、ガソリンや水や携帯充電が気になってドキドキしてしまうことが ずっと8年続いてきました。この先もきっとそうでしょう。そんな中でも、人間の持つ知恵と自然の持つ治癒力を信じてできることをしていきたいなぁと思います。 今日が、穏やかで何事もなく「普通で」静かに終わることが出来れば 十分に幸せです。明日から、また 元気に歩きだします。大人の責任として 頑張っていきたいと思います。

 長々と書いてしまいました。3.11の日には、私は、震災関連のテレビを見たり、ネットニュースを見るのが辛いです。明日の朝、笑顔で迎えられるように静かに早めに休もうと思ます… この8年間、変わらぬご支援本当にありがとうございます。励まされてばかりです。このご縁に感謝して、恩送りしていきたいです。


3.11に知足さん、九州の皆様に感謝をこめて

NPO法人子育て環境を考える虹の会たんぽぽサロン代表・永野美代子