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撮影:長野聡史
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撮影:藤木秀一
知足です。

 2019年9月11〜12日まで、朝倉市黒川の共星の里にて「黒川復興ガーデンとバイオアート ー英彦山修験道と禅に習うー」を行いました。
 今回のワークショップのテーマは、「鎮魂と命の再生」「関わり続ける人の輪づくり」でした。2017年7月5日の豪雨災害から2年。仮設住宅の閉鎖に伴い、被災者の住居、生活再建および復興のためのまちづくりが、被災地にとって大きな課題です。
 朝倉市黒川地区は、100世帯いた住民が、災害後は20世帯に激減しています。このような状況の中、地域外から被災地に関わりエンパワーメントする「関係人口」を増やしていく必要があるのです。
 共星の里は、20年前より、廃校になった旧黒川小学校を美術館として再活用し、アートを通じて地域活性化に尽力してきたところです。自然の中でアートの感性を育む貴重な体験を与えてくれます。また縄文時代からの遺物、英彦山修験の座主院がおかれるなど、古くから歴史文化が息づく場でもあります。しかしながら、九州北部豪雨災害時は、24時間降水量が829mmを記録し、大量の岩や流木が流れ込みました。この共星の里野外スペースを、アートの力で地域内外の方々が癒される場にしようと、2018年から共星の里と九州大学ソーシャルアートラボが協働しています。

● (9/8地鎮祭)  ワークショップに先立ち、共星の里で高木神社宮司による地鎮祭が執り行われました。 
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●(9/9-10準備)  被災した住宅廃材などを土壌改良のための消し炭に変え、植物の新しい命として再生し、鎮魂につなげることを目的の一つとしました。ワークショップ前の準備として、共星の里ディレクターの柳さん、泉田さんが重機を動かしました。消し炭づくりのため、八尋さんや白水さんと人の手でも廃材を運びましたが、炎天下の中での汗だくの作業となりました。坂本さん、脇さんなどボランティアの方々は竹炭づくりに取り組みました。共星の里の尾藤さんが作る地元野菜の料理は絶品で、心身が癒されました。
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●(9/11ワークショップ1日目)  参加者を土壌改良、剪定、廃材の移動、側溝の橋づくりなどの仕事にわけて作業を行いました。九大側のワークショップ参加者20人と、土壌改良の技術をもつ矢野さんなどボランティアの方々との協働となりました。地域住民の林さんや宮崎さんがしそジュースやスイカ、梨の差し入れをしてくださり、炎天下の作業を乗り切ることができました。廃材の消し炭での焼き芋も美味しかったです。
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●(9/12 ワークショップ2日目) 日差しが強く9月とは思えない暑さの中、みなさん本当に頑張りました。午前中は石を移動し、イチョウの木周りの養生の工夫をしました。師岡さん、螢火メンバーは木材チップづくりに取り組みました。また参加者それぞれが「私の苗木」を決め、配置を考えました。10年20年後の枝ぶり、四季折々の色味、日光の当たり具合などを考え、話し合いました。
 午後から、田主丸グリーンセンターの田中さんに来ていただき(ブドウの差し入れも)、苗木の周りに土で水鉢をつくるなど植樹方法を教示していただきました。「木を植える」作業は、人間の心に、何か尊いものを与えてくれます。WS振り返りの際、学生が「木を植えることは未来を思うこと」と話していました。またインドネシアからの留学生は「この木をみるためにまた日本に来たい」と話してくれました。新庄さんが植えた山桜の位置が、昔の小学校でも桜があったところと後から伺い、感慨深かったです。
 15時に作業を終え、ドローンで庭の様子を上空から撮影しました(藤木さん)。

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 ふりかえりの際、それぞれが心に残る場面の写真を提示し、なぜそれを選んだのかを話してもらいました。柵に絡んだツタを除くと現れたカマキリや彼岸花。住宅廃材が、何かを繋ぐ橋に変わったことの意義。自らが植えた苗木への思い。土を掻き出した時の苦労など、複数のあたたかい眼差しがこの場に注がれ、優しい手が大地に触れていたことを感じました。
 参加者の藤岡さんの感想の一部を転載させていただきます。共星の里の「星」の意味が、この文章の中にあると思いました。
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 こんなに自分が植えた椿のことを考えるなんて、すごく不思議な感覚です。身近ではなく、少し遠く。被災していない身近ではなく、被災した遠くだからでしょうか。なおさらに、心の中に“黒川”という場ができたように感じます。(中略) 
 いまからのわたしの人生に、あの椿は関わりを持つようになりました。それと同時に黒川も。そこに一緒に関わった人を含む自然も。 やはり、これも「愛」ですね。『星の王子さま*』のように。“ぼくにとっても、また、王子さまが大好きなあなたにとっても、まだ見たことのないヒツジが、誰も知らない星でバラの花を食べたかどうかということが、これほど本当に大きな意味を持つのです。そのことによって、宇宙全体の意味が変わってしまうのですから”。
 わたしも星を見上げて自問してみます。あの椿は、わたしが死んでも咲いているだろうか?わたしは、そうであると信じています。なぜなら、そういう想いを込めて今日一日を愛したから。星は常に関係性の中にあり,それぞれ関係の中で固有の意味を持つものだと考えるからです。このような貴重な機会を本当にありがとうございました。また3月が楽しみです。
*サン=テグジュペリ(浅岡夢二訳)『星の王子さま』
ゴマブックス株式会社,2013
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皆さんのあたたかいお気持ちが、被災した大地に伝わり、場の雰囲気を変えていく様は感動的でした。次第に「良い風」が吹くのを感じました。本当にありがとうございました。



*朝日新聞8/19
20190829「復興ガーデン」知足先生(朝日)


*西日本新聞8/30

20190830豪雨の記憶 伝えるアート(西日本)