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 知足です。

 2019年12月28日(土)に共星の里 黒川INN美術館で行われた学生の九州北部豪雨復興支援アートパフォーマンス(メディアート)「共生(ともいき)」の報告です。29日の予定だったのですが、天候の不安があり(電子機器を多く使うため)前日に急遽変更しました。(学生イベントのチラシと案内→http://elfinfukuoka.blog.jp/archives/81814235.html)
 九州大学 芸術情報設計学科の3年生口羽君、山中さん、逆瀬川君、国弘君(サポートとして嘉松君と笹山君)が力を合わせました。これだけの人数で、本当によくがんばったと思います。
 内容は災害で流れ着いた岩石、生き延びたイチョウの木に、プロジェクタ5台と球体の光を制御しながら照射し(プロジェクションマッピング)、パフォーマンスを行うというものです。音楽も学生が作曲・演奏しています。被災地の自然や人々の痛みが癒され、新しい命として再生する物語を、光と演者によって表現しました。
 黒川地区住民の方々は、災害後100世帯から20世帯に激減しているそうです。年末であわただしい中、告知が5日前、しかも前日に変更、という状況で、はたして地元の方々が来てくださるだろうかと不安でした。
 しかしそのような心配は、杞憂にすぎませんでした。寒い中、明かりもなく、前日の雨でぬかるんだ道を、約20人の方々が集まってきてくださったのです。高齢の方々も多くいらっしゃいました。集まって下さっただけでも、感動で胸がいっぱいになりました。
 公演後、被災地のみなさんが、学生たちに「よかったよー」「とてもきれいだったよ。夢にでてくるくらい」「さむかったやろう」「がんばったねー」と、真心のこもったお声をかけてくださっていました。学生たちは、みなさんの優しさに感動し、また無事にやりとげたことの安心感もあり、涙がこぼれていました。
 現地調査と試作、打ち合わせとリハーサルを繰り返し、機材を準備し、彼らなりに最善をつくしていました。被災地のみなさんに喜んでいただきたい一心で、寝る間を惜しんで制作にとりくんだ時間が報われた瞬間でした。学生たちの純粋な気持ちに応えてくださった、被災地のみなさんの優しさが心に沁みました


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共星の里 黒川INN美術館です。
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前日の雨で地面がぬかるむ中、プロジェクター等の機材を設置し、配線接合部を保護します。
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水たまりに砂をかぶせ、演者が移動しやすいように整えます。
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準備をしていると、黒川在住の鳥巣さんが差し入れを持ってきてくださいました。
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寒い中、開始10分前には地域の方々が集まってくださり、感動しました。
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公演開始です。まず、岩石と樹にフラッシュの光がまわりながら照射されました。
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巫女が登場し、岩の光を集めます。
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灯された光が、新しい命として木や大地にかえっていきます。イチョウの彼方に三日月と明星が美しく光っていました。自然が偉大な舞台装置となり、彼らを支援しているようでした。
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集まってくださった方々と記念撮影です。
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九州大学芸術情報設計学科のプロジェクトチーム(知足班)
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片付けをしていると、寒くて荷物が凍っていました。黒川地区の林さんご夫妻がぜんざいと果物・野菜を差し入れてくださいました。
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 片付け後、共星の里の柳さん、尾藤さんが、あたたかいだご汁と豆おにぎりをふるまってくださいました。冷えた身体に沁みとおり、とても元気になりました。本当にありがとうございました。

 SALの村谷さん、白水さん、田中さん、写真撮影や片付けなど、サポート下さりありがとうございました。
 良いお年をお迎えください。



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【学生からの案内文】


九州大学芸術工学部芸術情報設計学科3年の口羽と申します。

今回私たちは共星の里にてデジタルアートを活用した作品を作りたいと考えています。

きっかけは、今年の7月から朝倉市黒川の共星の里のための復興ガーデンプロジェクトに関わったことです。

岩がなだれ込み土壌も荒れていた場所が、多くの人の協力で素敵な庭へ生まれ変わりました。

そのような庭を、デジタルアートを用いて新たな庭の表情を見せたいと感じたと同時に、被災した方々の心を癒すことや、災害後の被災地のネガティブなイメージの緩和へつなげていきたいと思いました。

現在は作品テーマを「共生(ともいき)」とし準備に取り組んでいます。

共生とは、人間も自然の中の一員であり同等な立場であるという禅に由来する考え方です。

復興の庭の植栽提案をした際にもこの考え方を基にメンバーと話し合い植栽案を考えました。

その考え方を今回も取り入れつつ、自然と人間の関わり合いを表現するような作品を作りたいと考えています。


【共生(ともいき)】九州大学学生による復興支援アートパフォーマンス

2019年 12月 28日(土)  18:30~ 

(雨天の予報のため前日に変更)


共星の里 黒川INN美術館

(福岡県朝倉市黒川1546-1)

*5分程度の作品になります