知足です。
 前回のブログで紹介していた「被災銘木(鬼杉落枝と千本杉倒木)による英彦山下宮御神躰・不動明王制作プロジェクト→説明ページ)」について、2020年12月10日に鬼杉落枝の製材を行いました。そして、12日には、英彦山の上部(結界・実報荘厳土)にある千本杉倒木について、山中で製材を行い、担いでおろしました。どちらも杉岡製材所の皆様(杉岡さん、野上さん、栗木さん、後藤さん)、池上さん(大工池上算規)が、素晴らしい技術を結集して協力してくださいました。

[予備調査]
◾️10月24日 「九州の杉はどこから来たのか」をテーマに、英彦山の杉の調査を行うことになりました。森林環境学がご専門の九州大学農学研究院の渡辺敦史先生が、杉のゲノム解析を行い、杉種や由来等の特定をしてくださいます。私は、グリーンインフラ・アートとしての森づくり(文化と防災・減災を両立する植生デザイン)​を研究テーマとして、渡辺先生に協力をお願いしたところ、時を同じくして渡辺先生も英彦山調査を計画されていたのでした(豪雨災害で延期されていた)。ご縁を感じました。本学の博士後期課程に所属する杉岡さん(杉岡製材所)も調査に同行されました。
 英彦山には山伏と縁の深い、英彦山神宮の泉蔵坊杉(樹齢800年。災害により倒木したが、挿し木で子孫が存続)、鬼杉(樹齢1200-1300年)等の巨木があります。平安時代から生きている鬼杉は、もとは高さ60m、幹周12.4mの巨大な杉です (現在は高さ38m) 。英彦山神宮と林野庁の許可のもと、泉蔵坊杉、鬼杉、周辺の杉の調査を行いました。現在、予備実験として、鬼杉の実生苗を、私の実家の英彦山内の坊で育成しています。また、このとき、英彦山神宮より英彦山下宮の御神躰としての不動明王づくりを正式に依頼されました。こうして、鬼杉の落枝(台風による)と英彦山千本杉倒木で不動明王を作ることになったのです。
*不動明王制作についての経緯は、以下のページに詳しく書いています。
http://www.design.kyushu-u.ac.jp/~tomotari/Fudou.Mt.hikoWood.html
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鬼杉と鬼杉根元の実生苗です。
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実家の裏庭(元の鬼石坊。知足院跡はこれより山奥)
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英彦山内の坊(育成環境が似ている)で実生苗を育成。
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台風で倒木する前の泉蔵坊杉(神宮内の写真)
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不動明王下絵。英彦山大南神社の不動明王(県重要文化財。現在は修験道会館に展示)を参考にしています

■ 12月10日 鬼杉落枝の製材
 
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鬼杉の落枝。枝とは思えないほどの迫力です。
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不定形なので、数枚のベニヤに固定し、土台ごと切断します。
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大学の工作工房に運び込みました。心を込めて制作したいと思います。

■ 12月12日、英彦山千本杉倒木の山中での製材
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英彦山奉幣殿です。
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奉幣殿より少しあがったところに下宮があります。
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英彦山十二所権現が集まる神聖な場所です。高千穂有昭さんが毎日護摩供をされています。今回の不動明王はここに奉納される予定です。
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奉幣殿より上部は、昔の山伏たちの修行の場で、荘厳な雰囲気に包まれています。
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火炎光背(迦楼羅炎)のため、杉の倒木を山中製材します。
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まず玉切りし、木の様子をみます。
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傷んだ部分を削ぎます。
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ヨキ(斧)やナタで、墨付け(製材のラインを引く)の面を出します。
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割れや木目をみながら、どのように製材するか、杉岡さんが指示を出します。
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墨壺による墨付け。池上さんの大工の腕が光ります。
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チェーンソーで縦引きします。綺麗に並行に、野上さんのノコがはいっていきます。後藤さんと栗木さんもよく動かれていました。
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切った木目をみた製材所の方々と大工さんが口をそろえて「こんな木目みたことない!すごい!」を連発されていました。木目だけをみて、その木の歴史を即座に感じ取れるみなさんもすごいと思いました。
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倒木が山中で美しく、必要な寸法通りに製材されました。
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標高1000m付近から、木材を担いで降ります。チェーンソーなどの道具もあり、ずっしりと肩に食い込む重さです。また長さが130cmある板なので、担いだまま鎖場を降りるのは一苦労です。
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 杉岡製材所のみなさん、池上さん、本当にお疲れ様でした。みなさんのご苦労を真摯に受け止め、不動明王制作を成功させるべく、精進します。心より感謝申し上げます。