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《鬼杉不動》鬼杉落枝と千本杉 150×50×50cm 2022年
 
 知足です。2月27日(日)に《鬼杉不動》を無事に英彦山神宮下津宮(しもつぐう)に奉納することができましたのでご報告します。《鬼杉不動》は、平成3年(1991)の台風によって樹齢約1200年の天然記念物「鬼杉」から落ちた枝(不動明王)と、英彦山千本杉の倒木(火焔光背)で制作されたものです。
 作品の報告書「英彦山修験道における自然信仰と森林文化再興のための鬼杉落枝と千本杉による不動明王制作(PDF)」を以下に公開しています。執筆者は知足、石上洋明(福岡教育大学講師)、杉岡世邦(九州大学博士後期、杉岡製材所)、渡辺敦史(九州大学教授)、清水邦義(九州大学准教授)等です。私は「修験道と自然信仰、人畜草木森羅万象、霊木化現、十界修行と杉、四土結界、不動明王十九観、仁王経曼荼羅、制作過程」について説明しました。興味のある方はアクセスしてください。

 
 奉納日は雲一つなく晴れ渡り、雨を心配せず搬入作業ができたことは幸いでした。御加護に感謝しました。彫刻、塗装、報告書執筆、梱包、木枠づくりと、コロナ禍の大学研究室で行ってきました。教育や大学業務の合間をぬって、夕方や土曜日に作業を行い、いまやコンピュータや書物にも木屑がかぶっています。温度調整が必要な膠(にかわ)で繊細な部材同士を繋いでおり、光背や瑟瑟座(台座)も破損しやすい形状です。なるべく水平を保ちながら、振動を軽減しつつトラックで運送し、下津宮まで続く三段の石段を運び上げるのは至難の業です。何度もシミュレーションし、一人で悩みながらの梱包作業でした。トラックの積み込みの際、子供に手助けを頼んでいましたが(日曜なので)、さすがに二人では無理だとあきらめ応援をたのみました。台座制作者の池上一則さん(長崎の大工池上算規)、石上さん、杉岡さんがかけつけてくださり、本当に助かりました。心の底からありがたかったです。

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さまざまな問題を解決しながら協力して積み込みに成功しました。
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英彦山神宮高千穂秀敏宮司をはじめ
神宮関係の方々からもご助力賜りました。
宮司の計らいで奉幣殿までのケーブルカーの費用など
免除していただきました。
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御輿隊や英彦山地域デザインLLPの方々も
手を貸してくださいました。
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奉幣殿から下津宮までの移動は
山伏の方々も助力してくださいました。
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地面には雪が残っており、なかなか木枠を下に置いて
やすめません。また雪で足元がすべります。
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鬼杉不動のお顔は大南神社の不動明王坐像と
高千穂有昭禰宜をモデルにさせていただいています。
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有昭禰宜は毎朝下津宮でお勤めをされておられます。
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地元の方が撮ってくださった画像
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みなさまご協力誠にありがとうございました
他にも多くの方にご助力いただきました。
おにぎり等の差し入れも嬉しかったです。
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制作・積み込みメンバー(池上さん、杉岡さん、石上さん+撮影者の子供)
鬼杉不動制作報告会
4月2日の「英彦山と杉《鬼杉不動》制作報告会・参拝」
のチラシです。
→チラシ(PDF)ダウンロード

[追記]
高千穂秀敏宮司より以下のお言葉を賜りました。
「先日はお疲れでした。
これで信仰の山【霊山・英彦山】復活の
第一歩を進める事が出来ました。
誠にありがとうございました」

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【3月13日 開眼供養と護摩供】

 本日、奉納した《鬼杉不動》の開眼供養(かいげんくよう)が、英彦山神宮下津宮で行われました。制作された不動明王に、御霊をこめる法要のことです。開眼供養と護摩供を執り行なう高千穂有昭禰宜(ねぎ)は、神官でもあり僧侶(比叡山で修行・得度されている)でもあるという、まさに神仏習合の英彦山修験道の中興の祖となるような方です。英彦山で修行されている修験者の方々と共に、一心に供養を行なわれている姿は、本当に尊く、感動的でした。明治期の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)で辛酸を味わった先祖達の無念が晴れていくように感じました。

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天平の仏像のように整った横顔をされています。
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花の葉(しきみ)が法具を荘厳しています。
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複雑な所作の一環として、
鬼杉不動に向かって梵字を捧げておられるようです。
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修験者の方々と一心に祈りを捧げておられます。
読経と太鼓、錫杖、法螺貝が響き合います。
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多くの方々が手を合わせておられました。
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開眼法要の後に、護摩焚きが執り行われました。
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焔に照らされ、不動明王としての実在がたちあがったように感じました。
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護摩木が瑟瑟座(しつしつざ:台座)にみえました。
また、たちのぼる焔と煙に不動明王が化現するかのようでした。


以下に、開眼供養の様子を静止画と動画であげています(携帯で撮影したもの)。








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西日本新聞の吉川記者が記事を掲載してくださいました。地元の方が、参集された方々に内容を紹介してくださっていました。