板倉建築による熊本震災支援のプロジェクトを牽引してくださっている安藤邦廣先生が熊本と福岡(杷木)にいらっしゃいました。今回の災害の教訓は「山の在り方の再考」にありそうです。杉そのものに全ての責任を押し付けると、改めるべき本当の課題が見えなくなります。植物分類学の矢原徹一教授のお話を引用すると「スギ林は手入れさえすれば、スギの落枝が立体的なので、平面的な広葉樹の落ち葉にくらべて保水力があります。自然分布の点でも、スギは広葉樹よりも雨量の多い環境に適応した種です。スギの利点を冷静に見るべきでしょう」ということです。
山のデザインに関しては、水と風の道作り、植生を活かしたゾーニング、自然石を利用した水路など、昔の修験道の考え方にヒントがある、と安藤先生はおっしゃってくださいました。
これから杉山の手入れを強化しつつも、「山の保水力を超える豪雨の際に山崩れが起こる」ことを前提に、新しい防災認識と環境づくりが必要になりそうです。集中豪雨は今後、何処でおこるかわかりません。人の暮らしを守るためにも山を安全に設計する、また地形を立体的に分析し被害を最小限にする知恵を絞っていきたいです。方向性が定まったら皆さんにご報告します。
九州北部豪雨福岡県添田町の彦山川沿いに、英彦山(ひこさん)に向かいました。
川沿いの落合地区にある 瓜生(うりゅう)こんにゃくは、こんにゃく芋のみを利用し、薪で炊く大釜で作られています。この店(工房)に直接行かないと買えません。昭和から変わらず200円。刺身こんにゃくの食感と味は、目からウロコの美味しさです。ここの大釜が被害を受けていないか心配でしたが、奇跡的に無事でした。「増水してもうだめかと思ったとき、川が二手に分かれてくれたので被害は最小限だった」と店主がお話してくださいました。本当によかったです。
掃除をされている方々、片付けた流木を燃やしている方々などが見受けられました。みなさん大変お疲れ様です。
英彦山内はいつもと変わらない日常を取り戻していました。南岳までは足を伸ばせませんでしたが、実家近くの霊場はみな無事でした。安堵しました。